Vol.1 客層を変えてビジネスを伸ばす

先月末に1週間ほど福岡に帰省していました。その時にたまたま「近所に新しくできたコインランドリー」を利用したのですが、このコインランドリー、うわさに聞く「WASHハウス」でした。「WASHハウス」は昨年末に東証マザーズに上場した異色のコインランドリーです。(https://www.wash-house.jp/

 

新規上場するほどに将来性のあるサービスは、どんな視点で展開されているか?そこから私たちはどんなことを学べるのか? 今日は、「新しいコインランドリーから学ぶ、新しいサービスの見つけ方」についてお話ししていきます。

本日のポイント

◎従来のビジネスを反対の客層に提供する

◎徹底的に、顧客の不満や不安をリサーチして解決する

一般的に「コインランドリー」といえば「男性の場所」「薄汚い」「狭い」

皆さん、コインランドリーを使ったことはありますか?

 

そのコインランドリーは、どのような場所にあって、どんな雰囲気だったでしょうか?

 

我が家の行きつけ?は、街角にあって、入ってみると汚れたテーブの上に汚れた灰皿やジョージアの空き缶、週刊ジャンプ。洗濯機も20年は使いこまれたような見た目。実際、中年男性や学生らしき人たちがそこに座って洗濯が終了するまで時間を潰していたりします。

 

私としては仕方なくそこに行くものの、「あぁ、この人たちと同じ洗濯機でうちの洗濯物を洗うのか...なんか気持ち悪いなぁ...」などと思うわけです。

 

実際にコインラインドリーというビジネスは、銭湯や建物オーナーの副業として零細規模で経営されていることがほとんどです。

新生コインランドリーの何が違うか

一方、今回のコインランドリー。まず、外観から清潔。駐車場つき。(画像は同社WEBサイトより)

入ってみると広くて明るい。小さめのコンビニくらいの広さと明るさです。洗濯機も床も壁もピカピカ。(画像は同社WEBサイトより)

 他にも次のような便利なサービスがありました。

 

・両替機が置いてある(今までは100円玉を作るために、自動販売機で要らないジュースを買っていました。)

 

・コールセンターと24時間話せる(洗濯機の使い方が分からない、違う投入口にコインを入れてしまった等のトラブルを即解決)

 

・「電解水」なるものを使った洗濯。どんな汚れも取ってしまいそうなイメージで、清潔感高い印象。

 

・店内には防犯カメラが付けられていて、その画像は店内の大型モニターで映し出されていて、店内の誰もが見ることができる。(不審者に洗濯物を盗まれたりする心配が減ります)

 

・洗濯・乾燥が終了すると、フロアに2,3台置いてあるカート付きの大きなバスケットに洗濯物を入れられる。さらに、その洗濯物を広々とした専用テーブル上で畳める。

 

こんなサービスの数々が、主婦目線からすると総合点で「過去最高得点」でした。

ビジネスとして学べる点

これは従来の「コインランドリー」の概念を打ち破ったビジネスなのですが、考え方の何が違うのか? 私たちがビジネスを発展させるうえで学ぶべきところはどこなのでしょうか?それは...

 

「今と反対の客層」をターゲットにして「より伸び代が大きい市場」を狙う

 

..という点です。従来、コインランドリーは男性を対象としていた業態(あるいは、女性目線ゼロの業態)でしたが、WASHハウスはこれを「女性客層狙い」に切り替えたわけですね。

 

もともとコインランドリーには、夏場のタオルケット、洗濯故障時の代替としての需要があります。さらに最近はハウスダストや寝具のダニに敏感になる人が増えており「家では洗えない大きい物をコインランドリーで洗いたい」というニーズが高くなっています。

 

家庭の洗濯を担うのは圧倒的に主婦ですので、主婦が満足するサービスを提供することで、この需要を獲得することができるわけです。そうやって、男性狙いのビジネス(あるいは女性視点ゼロのビジネス)よりも、伸び代の大きいこの事業を展開することができるのです。

客層を変えて成功した事例

「従来のビジネスの客層を180度変える」というのは、実は新規事業で成功しやすい視点です。

 

例えば以前、「ビジネスホテル」はもっぱら男性が利用するものでしたが、働く女性が増えた15年前くらいから、「女性専用フロア」というものが登場してきました。私も経験がありますが、出張先のビジネスホテルで薄い壁の向こうから知らない男性の咳払いやくしゃみが聞こえる、という環境に、女性はとても強い不快感を感じるものなのですね。「女性専用フロア」は、専用フロアで女性に快適な滞在を提供することでビジネスウーマンたちのリピートを得て、売上を伸ばしました。

 

また、「エステサロン」というものは従来、美しくなりたい女性向けに美肌・痩身・脱毛などの美容サービスを提供する場所でした。しかし、男性にも「かっこよくなりたい」という悩み・願望はあり、「男性向けエステサロン」というものが登場してきます。男性向けエステサロンは髭が濃い、ニキビ跡が気になる、お腹が太っている、といった男性特有の外観の悩みを解決することで今も成長しています。

 

他にも、

◆従来は子供向けだった学習雑誌の会社が、大人向けに教材を出した例、

◆従来は若者向けだった結婚相談所や婚活パーティが、年配者向けにサービスを提供する例

◆従来は企業向けだった段ボールメーカーが、個人向けに販売して成功した例

◆従来は国内客を対象にしていた飲食店が、外国客に本腰を入れて成功した例、

...など、多くの事例があります。

客層を変えるときの注意点

ですので「客層を変えること」は、皆さんの事業を今後大きく伸ばすうえで、一つの大きなヒントになります。でも、その時に2つ注意点があります。

 

ひとつは、新しい客層に変える時に、十分な伸び代がある市場を選び、その層を狙えば確実な市場がある、と思える領域を狙うことです。

 

例えば、和菓子屋さんが、既存顧客が年配者ばかりだからといって、若者向けに和菓子を売ろうとしても苦戦するでしょう。若者にとっての菓子の選択肢はコンビニからケーキまで多様で、もともと和菓子を食べないですからね。競合が多いし、伸び代も見えません。

 

もうひとつは、新しいターゲット客の不満や不安をしっかり聞き取り、それをひとつずつ、きちんと解決すること

 

今回の例でいえば、主婦たちは今までコインランドリーに対して声にならない数々の不満を持っていました。「汚い・不潔」「なんだか気持ち悪い」「男臭い雰囲気がいや」「小銭がたくさん必要で面倒」「盗まれるんじゃないかと不安」...

 

WASHハウスのビジネスを組み立てた人たちは、そういった声を真剣に聞いていったのでしょう。そして、それらの声をひとつずつ解決していったのですね。その結果、主婦からの圧倒的な支持を得ているわけです。

顧客の声を聞きましょう

あなたの事業で新しい客層を狙うとき、その人たちが何に悩んでいるか分からないのなら、10人(あるいは10社の人)に聞いてみましょう。何がいやか。何に困っているのか。そして、あなたの会社がそれに対してどのような解決策を提供できるか、考えていきましょう。

 

あなたのビジネスはもっと成長します。客層を変えてみることは、多くの策のひとつにすぎません。どんな形にせよ、まずは顧客目線で商品構成・サービス構成を見直すところから、改革を始めましょう。


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