Vol.15 商品構成を「他人任せ」にする功罪

今週、ある地方空港のお土産販売店の商品構成刷新の依頼を受けて、現場を見に行ってみました。

 

50坪ほどの売場を見ていると、何とも「パっとしない」島陳列がひとつ...

売場が「なんだかパッとしない」理由

その什器を一周してみると、〇〇クリームサンド、だの、〇〇せんべいだの、その地のお土産用箱菓子らしきものが15種類ほど並べられています。

 

でも、おいしそうでもないし、おもしろくもないし、珍しくもないし、美しいわけでもない、人気でもない、有名でもない、、、、そんな商品構成の島陳列。試食はあるけれど、他の土地でも見るような、何の変哲もないものばかり..

 

お客さんの目線になってその島の商品を見ていても、買いたくなるものが何もないのです。こちらは、東京に持って帰るお土産を買う気満々で売り場を物色しているにもかかわらず。

 

仕入も兼務している店長に聞いてみると、「そこは問屋にまかせている島なんですよ」とのこと。

 

問屋が月に数千円の什器使用料(協賛金)を払い、代わりに、問屋はその什器に好きなものを置いてよい、という「きまり」になっている、と。

他人に商品構成を任せることの功罪

「問屋に任せている棚」とか、「メーカーに任せている島」は、ある程度の小売店になると時々見かける形です(ラック・ジョバー方式)。

 

ラック・ジョバーは、本来は、「店にとって最重要ではない部門や品種」の商品構成を問屋やメーカーに任せることで、自前でやるよりもお客様の満足度を上げる、ことをめざしています。

 

例えば、食品スーパーは、駄菓子売場(10円の風船ガムやチョコなど)を問屋に任せていることが多いですし、旅館がフロントの片隅のお土産コーナーを問屋に任せていることもあります。

 

そうやって、「自社にとって重要でない部分」を「その道のプロ」に任せることで、自分たちは本業に集中し、全体としてお客様の満足度を上げることができるのです。

 

しかし、問題なのは、今回のように「自社にとって重要な部分」を、問屋やメーカーに任せる場合です。

 

それはいったいなぜか・・・?

「商品構成作り」は「プレゼント選び」に似ている

「商品構成を作るプロセス」は「大事な人にプレゼントを贈るプロセス」によく似ています。

 

自分で一生懸命にプレゼントを選んだのに、大切な相手が思うように喜んでくれなかったとします。それは、多分あなたの

 

・相手選び(ターゲット顧客決定

・相手の好みの把握(顧客ニーズ把握

・お店での商品選び(商品・仕入れ先選定

・相手への渡し方(店頭での顧客提案)、

 

...のどれかが間違っていたのでしょう。

 

それでも、まあ、いいのですよ。また次の機会に、今度こそ相手が喜ぶように、上のどれかを変えて頑張れば良いのです。

 

でも、そのプレゼントを選んだのがあなたじゃなく問屋やメーカーだったとしたら、状況はどうなるでしょうか?

 

まず、なんと言ってプレゼントを相手に渡すか。(=商品を売場で展開するか

 

「このプレゼント、友達が選んで、俺はなんでそれがいいか分からないんだけど、気に入ってくれるかな...」...なんの熱意も感じない渡し方ですね...

=その売場は、熱の入らない提案をする売場になります

 

まあ、それでも、相手がそれを気に入ってくれればいいですよ。(=顧客満足度が高い、買上率が高いパターン

 

でも問題は、相手がそれを気に入らなかった場合(=顧客満足度が低い、買上率が低いパターン)です。

他人に任せると、理想の商品構成が完成しない

 そもそも、他人(問屋・メーカー)の目利き力を信頼していて、他人に商品構成を任せたわけです。

 

しかし、その問屋やメーカーが選んだ商品が、相手(顧客)に気に入られなかったとしたら、それは、任せた相手があなたが期待するような成果を出していない、ということなのです。

 

だとしたら対策は、この3つでしょう。

 A:店側と問屋・メーカーとが戦略を話し合い、再度、新しい商品構成にチャレンジする

 B:やっぱり他人まかせにせず自社でやる

 C:他に商品構成を作ってくれる人を探す

 

でも「問屋・メーカに任せている」がゆえに、話しあうこともなく、自社でやると決めることもできず、結局のところいずれの対策もできずに放置されてしまうわけです。そうやって、相手が喜ぶようなプレゼント選び、顧客が喜ぶような商品構成が永遠に完成しません。

 

 これが「慣習だから」「今までそうやってきたから」という理由で、何となく他人に商品構成を任せてしまうことの恐ろしさです。

試行錯誤を楽しめるか

さて、冒頭の空港のお土産屋さん。

 

私の方からは、上記の理由から、自分たちで選んだ商品を置いた方がいいことをアドバイスしました。

 

お話を伺うと、幸いにもその店長は問屋出身で、十分な商品知識や目利き力があり、お客様が必要な商品、欲しそうな商品、人気の商品を自分で選ぶことができる方でした。(今まで“慣習“でその棚を問屋に任せていただけなのですね。)

 

お客さまのことを一番知っているのは、現場にいる店長なりスタッフです。その人たちが、これぞ!という商品を選び、お客様に提案するのが、本来は一番良いのです。売れなかったら残念ですけど、売れたらうれしいですよね。その棚を問屋に任せて放置しているより、自分で試行錯誤したほうが、ゲームみたいで楽しくないですか?と。

 

その試行錯誤を続けてお客様が買いたくなるようなお店になっていくのか、そういう試行錯誤が面倒で、やっぱり他人に商品構成を任せて、パッとしないままになってしまうのか、今このお店は分かれ道の手前に立っているのです。

 

さて。

 

皆さんのお店はどうでしょうか?「誰かに任せた棚」「パっとしない棚」が放置されていませんか?

 

お客様が買いたくなるような商品構成、お客様がうれしくなるような商品構成を作りこめているでしょうか?


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