Vol.41「女性スタッフの感性を生かして売上を伸ばしたい」という社長の何が間違っていたか

女性の感性を生かして売上を上げたいが...というお悩み

 「モトさん、うちの新しい店の店長にパートの女性を抜擢したんですけど、なかなか売上が上がらないですね。。。女性の感性を生かして何とかしてくれないかなって期待したんですけどね。。。」

 

..と、残念そうだったのは、惣菜や食品の店を首都圏に8店舗展開する40代の社長。昨年の秋にお聞きした話です。

 

長年現場でがんばってきた50代の女性を店長に「大抜擢」したとのこと。会社始まって以来の女性の登用で期待をかけているにもかかわらず、1年経っても「売上UP」できず、黒字にならないんですよ、と。

 

私自身、昨年秋からその女性店長に直接何度もお会いしましたが、よくがんばっていらっしゃる、真面目な方という印象を持ちました。仕入商品を発注したり、商品を作ったり、部下に指示を出したり、在庫を管理したり、レジを打ったり。店舗の現場のことはお任せできそうです。

 

が、店舗販売の現場を任せられることと、売上を上げることは、まったく別物。まったく別の判断、まったく別の行動が必要です。売上が上がらないのは、私からみると、その店長が悪いのではありません。「社長の期待が間違っている」のです。 

「女性の感性」とは何なのか?

よく聞く「女性の感性を生かして...」ですが、男性経営者の皆さんは、いったい「女性の感性」に何を期待しているのでしょうか?

 

女性のセンス?何のセンスなのでしょう?売れる商品を選んでくるセンス?

 

あるいは、素敵な感じに商品を並べるセンス?たしかに、男性よりも女性の方がきれいに飾り付けられそうですが。。。それは、来店客数を増やすのか?

 

コミュニケーション力?がさつでぶっきらぼうな男性よりも、お客様とフレンドリーに会話をして、うまいこと売り込んでくれれば、売上が上がるかも?

 

「女性の感性を生かして...」というのは、もともと非常に曖昧な言葉です。そして、「女性の感性で売上を上げる」というのも、雲をつかむような、根拠の薄い期待、妄想なのです。

売上は「アイデア」ではなく「再構築」で作られる

当社では、商品構成・品揃えやサービスメニューの刷新から売上を上げる支援をしており、多くの現場を見てきました。

 

だからこそ言えるのですが、いま、その店なりその会社の売上が停滞・減少している根本原因が「立地」や「強力なライバル店の存在」や「業界の衰退」であるなら、小手先でできる対策はほとんどありません。

 

本当に売上を伸ばしたいなら、「新たなアイデアを出すこと」と「そのアイデアに基づいて事業を再構築すること」の両方が必要です。

 

「アイデアを出すこと」は「販売の現場をがんばってきた人」にとって難しくはないでしょう。(言い換えると、大きな事業判断や事業改革の経験がない人たちにもできる。)

 

もし、皆さんの会社が女性をターゲットにモノやサービスを売る商売なら、買い物経験が豊富な女性消費者の視点で、

 

 「もっとこんなふうな店にしてほしい」

 「こんな商品を置いてほしい」

 

というアイデアをもらうことは、新しい着眼を得るために非常に有効です。

 

しかし、「アイデアを出す」と「事業を再構築する」のは大違い。「事業を再構築する」のは、かなり高いハードルです。なぜか?

売上創造=「感性」+「ロジックと実行力」

「事業を再構築する」ハードルが高いのは、「思い付き」や「言いっぱなし」では済まされない、複雑な意思決定、多くのタスクの実行、重い責任を伴うものだから。

 

そもそも、そのアイデアが正しそうだと、どう判断するのか?そのアイデアを、どうやって実現するのか?一歩間違えば状況を悪化させるかもしれない責任を、誰が取るのか?

 

実際の「事業の再構築」では、商品構成の変更、サービス内容の変更、価格の変更、仕入れ先の変更、立地の変更、人材の配置の変更、採用、再教育、新しいキャンペーンの企画、新しい広告宣伝の実施等々、複雑にからみあう経営の要素を大幅に変えていかなければいけません。

 

どんなにすばらしいアイデアを出せても、「再構築」しない限り、売上にはつながりません。

 

そして、「再構築」のためには、知識、経験、判断力、技術、人脈、お金を使う権限、人を動かす権限などが必要になります。それは「感性の世界」というより「ロジックと実行力の世界」なのですね。

 

思うに、「女性の感性で売上が上がれば...」と安易に考える経営者は、「女性からアイデアをもらうことと」と「事業を再構築すること」を混同しています。だから成果が出ない。

「アイデアを出す女性」を「ロジックと実行力を持つ男性」がフォローする

経営者が本気で「女性の感性を生かして売上を上げたい」と考えるなら、以下3つのうちのいずれかの体制を作ることが必要です。

 

1)「事業成功のロジックと実行力」を持つ「女性」に任せてみる

2)「女性」が「ロジックと実行力」を持てるように経験と教育を与える

3)「アイデアを出す女性」を「ロジックと実行力を持つ男性」がフォローする体制を作る

 

現実を見ると、①は絶対数が少なく、②には時間がかかります(たぶん10年くらい)。実際には、③で、若い人や女性のアイデアを幹部社員や役員が実現のためにフォローする、というような体制には成功事例が多いですね。

 

「女性の感性」に一任してしまうことには無理があることをお分かりいただけましたか?

手放しで任せるのではなく、「知識と経験が豊富な誰か」のフォローが必要なのです。

 

さて。

 

みなさんの会社でも、「女性の感性」を生かそうとしているかもしれません。教育やフォローアップはできていますか?「女性の感性」を起点にして、それが、本当に売れる商品構成やサービスを作ったりする「体制」にまで、作りこむことができているでしょうか?

 

「会社が本当に成長できる戦略」を作ることができていますか?


●コラムの更新をお知らせします(毎週木曜日)

本 由美子 もと ゆみこ

㈱Sente 代表取締役

代表コンサルタント

 



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