Vol.46 中小企業経営者が知るべき、部下・店長の売上責任

店長が変わったら売上が下がった...というお悩み

「モトさん、この店、今の店長になってから売上が下がっているんですよ。でも、すごく期待をかけているヤツなんで、新しい店舗も任せたいと思ってるんです。なんとかなりますかね...」

 

・・・とおっしゃっていたのは、食品系の卸・小売業を経営するT社長。10店舗あるうちの「新業態の1店舗」を30代の若手に任せてみたところ、1年で売上が30%も下がってしまった、ということ。

 

なんとかなりますかね、というのは、つまり、「この店長が売上を上げるようにするにはどうしたらいいか」というご質問でした。

売上の大幅な増減は、経営戦略や外部要因による

お話をお聞きしながら、直観的に「おかしいな」と思ったのは、”店長が変わったから” 3割売上が減った、という状況。

 

確かに店長の能力には差があって、誰が店長になるかで売上は上下するのですが、3割は多すぎです。

 

店長による変動は、だいたい1割前後。3割も下がってしまうというのは違う要因がある可能性大。

 

特に物販の店舗の売上は、ほぼ「立地」と「商品構成」で決まります。つまり、どこに、何を並べて売っているかで、ほとんどの勝負は決まります。

 

ですので、たとえ能力の低い人が配置されても、通常、売上はほとんど変わらないし、「できない店長」を配置した後に、むしろ売上が上がったりすることもあるくらいです。

 

近くにタワーマンションが建設されると、急激に客数が伸びますよね。逆に、近所に強力な競合が開店してしまい、急激に来店客数が減ることもあります。外部の力は、店長・部下の能力の影響をはるかに上回るパワーで、売上を大きく上げたり下げたりします

 

よく話を聞き、実際に店舗の商品や客層を見てみると、やはり売上3割減の原因は、店長の能力というよりも、その「新業態」の店の商品構成や売り方に「難」がありそうでした。競合の中で生き残れるだけの商品、リピートされるような商品が揃っていない

 

食品系のお店の典型「開店直後が最も売上が高く、そのあと客数も客単価も下がり続けるパターン」に陥っている、というのが私たちの見立てでした。

中小企業の人材は「普通の人」を想定する

まれに、接客や営業の販売スキルが高く、その人が来れば店の売上が上がる、というようなタイプの人がいます。

 

しかし、個人で販売成績を上げることは得意だったとしても、お店全体の売上を上げることができる人はめったにいません。

 

「その人が店長になれば、瞬く間に売上が伸びる」というキレ者が、いるにはいます。

 

本部の指示を受けずとも、自分で売り場の企画を作り、販促策を考え、品揃えも考えて、場合によっては自分で仕入先も見つけて、取引条件まで話をつけてくる、というような。

 

モチベーションが異常に高く、自律性も高い。勝手に学んで、ひとりで努力して、みるみる業績を上げていくような。

 

そういう人だったら、3割の売上UPは可能かもしれません。

 

しかし、中小企業が(大企業でさえ)そんな人に出会うことがめったにないし、雇うことも難しいでしょう(当然、引く手あまたで高い報酬なので)。

 

ですので、中小企業の人材としては、「普通の人」、つまり、普通の報酬で、言われたことをきちんとやる、という人を想定しておくのが堅実です。

社長が「大きな変化」を起こすことで、会社が成長する

もちろん、「普通の人」が店長や責任者になると、この状況で売上を3割も上げたりするすることはできません。

 

「大きな成長」の根幹にあるのは「大きな変化」です。

 

立地なり、商品構成や新しいサービスなり、価格なり、売り方なりを、「大きく変化」させることで、「大きな成長」が生まれます。

 

これに対して、「普通の人」の根幹は「安定性」「保守性」です。昨日と同じように、今日も安定して暮らすことが、「普通の人」の本質。

 

だから、「普通の人」に任せて、売上が大きく上がることはない。

経営者が力を振り絞って、知恵を絞って、勇気を振り絞って「大きな変化」を起こすことによってはじめて、会社の成長は作られます

 

今回、その下がった売上3割は、誰が取り戻すべきなのか?

 

-そう、ほかでもなく、社長自身です。

 

中小企業の場合、小売であれ、サービス業であれ、売上や利益を決めるすべての要素を社長が決めているといって過言ではありません。

 

どこでビジネスをするか、誰に対して、何を売っていくか。

どこから調達するのか。そして、どうやって売っていくのか。

 

売上が大幅に下がったとすれば、厳しい言い方ですが、社長自身に、売れる戦略、売れる仕組みの作りこみが足りなかった、と言わざるをえません。 

 

部下に任せる前に、社長自身が、立地やターゲットや商品構成や価格や売り方を、”これをやっておけば、誰が店長になっても黒字は出る”というレベルにしておく必要があるのです。

 

あるいは、この窮地は戦略変更で生き延びれるのか、あるいは、さっさと撤退すべきなのかの判断も、やはり社長がすべきなのです。

社長は、重要な判断から逃げていないか?

今回のようなケースでよくあるのは、実は、社長自身がどうしていいか分からない、とひそかに悩んでいる、というパターン。

 

売上が下がった、赤字だ、という極めて厳しい局面を、自分の経験や知識ではどうにも解決できない、というのが本音。

 

「部下に期待している」「部下に任せる」「部下を育てる」という、いかにも懐の広そうな言葉を使いながら、自分は現場に入ることを避け、面倒なことを避け、判断を後まわしにする、そんな姿です。

 

本当に部下を育てたければ、自分が判断するところを部下に見せるべき。情報収集のプロセス、判断の基準、判断のプロセス、どう迷い、どう決めるか、たゆまぬ改善の実行、思い切った改革の実行の姿を教えつつ、後ろ姿を見せていく。まさに、親が子供を育てる時と同じです。

 

難しすぎる宿題の前に子どもを放置しても、その子供の中に育つものは何もありません。

企業ならば、そうやって事業や人材が、ひとつひとつ弱り、腐敗し、壊れていくことを、忘れないでください。

 

さて。

 

あなたの会社では、売上の減少を店長や部下の責任にしてはいないでしょうか?

社長として、売れる戦略、売れる仕組みを作れていますか?


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