第68話 中小企業経営者が避けるべき、売り手の「勘違い」

選択肢を半分にしたら顧客が増えたケース

 最近、ある食品販売の企業で、戦略的に商品構成を再構築しました。
 
 それまでいくつもあった品目数を半分に絞り込んだら、今までのお客様にかえって喜ばれる、という狙い通りの結果でした。嬉しいことに、これまでその商品に興味を示さなかった方々も新たにその商品に興味を持ちだしていますので、今後客数・売上とも増えそうです。
 商品数を絞りこむ、という方策は、特定の状況下では威力を発揮します。ただし判断がとても難しく、見極める目を持つためには、知っておくべき観点がいくつかあります。

ほっておくと、商品は増え続ける

  販売する商品数(品種、品目数)は、そこに戦略と管理がなければ、場所の許す限り増えていくのが通常です。なぜか?

 

理由① お客様に複数の選択肢を与える方が、満足度が上がるだろうと企業側が考えるため
理由② 次から次に新製品を出して店頭で売れ行きを試すから
理由③ 問屋やメーカーが提案する新たな商品を次々に店頭に並べていくから
理由④ 「あれないの?」「これないの?」という一部の顧客のリクエスト応じるため
 
理由⑤ 上記の施策をとりながら、結局、売れ筋やヒット商品を生み出せないため
理由⑥ 売れ筋と死に筋の管理ができておらず、売れない商品でも置き続けるため
 このような商品の増やし方をしていると、良かれと思って並べてみた商品群が、なぜか売れない。並べれば並べるほどますます売れない、という悪循環に陥ります。
 これは、商品の選定の際の「戦略のプロセス」の詰めが甘く、「あてずっぽう」方式、つまり「当て推量」になっている典型例です。「何が売れるか、なぜ売れないのか、いつまでたっても分からない」状況。そして、根本にある問題は、顧客を見る視点の弱さにあります。つまり、顧客を分かっていない、ということです。
 自社の商品を見ながら「何が売れるか、なぜ売れないのか」を考え続けても、答えは永遠に分かりません。
 「売上=お客様が買ってくださった金額の合計」です。ですので、必要なのは、「買って下さる顧客」「買ってくれそうな顧客」を見ることなのです。商品ではなく、顧客の方に注目しましょう。顧客が、生活や仕事の中で何が必要なのか。「顧客を見る視点」が、「商品を見る」視点と同じくらい重要なのです。

ショッピングは楽しくない

「顧客を見る視点」とはどういうものか。

 例えば、買物には「Dutyな買い物=義務的な、楽しくない買い物」と「Entertainmentな買い物=娯楽的な、楽しい買い物」の2種類があります。
 
 多くの男性は、「女性は買い物が好きだ」「女性は買い物を楽しんでいる」という先入観を持っています。しかし「楽しい買い物」というものは実際には少なく、現実には、日常の買い物のほとんどは「Duty」です。つまり、消費者は日々忙しい中で、必要に迫られて仕方なく店に出向き(あるいはWEBサイトを開き)、必要なものを手っ取り早く買い、さっさと帰りたいと考えている。
 
 「Dutyな買い物=義務的な、楽しくない買い物」の場合、迷うほどたくさん商品がある店舗やWEBサイトは、「何を買っていい分からない」「たくさん並んでいるのに欲しいものがない」、という気持ちを引き起こし、買い物の複雑さを増幅させます。顧客を困惑させ、いら立たせます。
 冒頭で紹介した、単品の品種を半分に減らしたケースは、この「Dutyな買い物」に属するカテゴリーの商品だったのです。商品数をよりすぐりって半分に絞ることは、消費者の買い物の苦痛をできるだけ取り除き、早く意思決定できるような配慮なのです。
 「Entertainmentな買い物=娯楽的な、楽しい買い物」の場合には、選択肢は多くてもかまいません。迷うほどたくさん商品がある、というのは、好きな服、好きなケーキ、好きなアイスクリームを前にした消費者にとっては、至上の喜びです。しかし、そこには、その人が好きであろうと思われる「迷う楽しさを提供する選択肢」でないと意味がありません。
 当然ですが、顧客が自社の商品を見るとき、迷うとき、選ぶとき、購入しないと決めるとき、購入することに決めるとき、家に持ち帰ったとき、使う時、食べるとき、それぞれの段階でどのように感じているかを理解しなければ、顧客の心はつかめず、「買っていただく」というゴールにたどり着くことはできません。

貴社の顧客は何を感じ、何を考えているか?

 いくら商品を店頭やWEBサイト上に並べても売れない、という状況は、恋人に「当てずっぽ」方式でプレゼントを渡し続けても、その人から愛されることはない、という状況と同じです。その人の心を掴みたければ、相手のことを深く理解し、心から喜んでほしいと思う願いと確信をこめたプレゼントを渡す、という戦略と実務を実行するのが唯一の道です。
 売れる商品構成を構築する戦略と実務は、まさに、大切な人の心に近づく戦略と実務と同じなのです。
 多くの中小企業は、優れた商品、良い商品を持っています。しかし、商品構成や価格、そして売り方が、顧客の生活、顧客の買い物感覚、日常感覚に合っていないために、売上を伸ばす機会を逸していることは残念です。
 自社の商品と同じくらい、自社の顧客を見る。このことは肝に銘じておく必要があります。
 
 さて。
 
 皆さんの顧客は、何を感じながら暮らし、何を求めているのでしょうか?
 貴社はそれに対して、何を提供できるでしょうか?

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